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今まで私は、古民家と言えば山の中に入っていたが、歴史を持つ古民家は、海にもあると言うことに気付き、海に囲まれた町広島県の内海町にやって来た。 |
島に渡ると、まだ人の手もあまり加えられてない古民家がたくさん見かけられた。 そこで私は、何十年も空家だった一軒の古民家を見つけた。 |
よく見ていると、この古民家は、私に何か話し掛けているのが解かった! 「私をまた、この世に甦らせて下さいと・・・」 |
古民家の中に一歩足を踏み込み上を見上げると、天井の板も張ってなく梁の上に竹を敷き詰め、その上に土を置いたままの天井であった。 この天井が、私に話し掛けたような気がした! |
もっと奥に入ると、たくさんの大きな丸太の梁が右え左えと交差し、黒光りがしていた! この真っ黒い梁も、黒光りと同時に数百年の歴史を私に物語ってくれていた。 |
私は、この古民家を「内海の家」と名付け内海町のこの地で現地再生をすることを決めもう一度、内海の家を、この世に甦らせてやることに決めた。 |
内海の家も片付けが終わりいよいよ数日後には、解体が始まる。 |
解体が始まる前であるが、私の目には、もうすでに、この内海の家がドッシリとして見えたのは、私だけであろうか? 私と出合った、内海の家がどのようにこの世に甦って行くかが楽しみだ。 |
いよいよ、解体の始まりだ! 私には、この内海の家の鼓動が聞こえて来た。 |
数日して内海の家を見ると、竹の上に土を乗せた瓦も降ろされて行き小舞竹に土を塗った外壁も土ぼこリを上げながら落とされて行く・・・ 生まれたままのスッキリとした姿になって来た。 |
解体も終わり、この家の笑顔が見えたのは、私の気のせいであったのか? だがこれからが本当の民家再生の始まりだ!気が抜けない。 |
工事は、まずスッキリとした内海の家を持ち上げることから始まる。 柱が動かないように鉄骨で柱の足元を固定して持ち上げ、その下に基礎を作る。 |
柱と柱を固定して、建物の傾きを直しながら、着々と民家を持ち上げる準備が行われる。 |
持ち上げ準備も出来、いよいよ内海の家を持ち上げ作業の開始だ。 建物は、前後と中央と3点を基準に5cmくらいの差で持ち上げられる。 石の上に乗っていた内海の家が少しずつ上がって行く。 |
メキメキと音をたてながら柱が上がった! 建物が上がり、柱が乗っていた石を見ると200年前の大工が書いたと思われる番付けがかすかに見られる。 |
持ち上がった柱の根元も見てみるとそこにも、当時の大工が書いた番付けがあった。 これは、石基礎の番付けと柱の根元の番付けが同じで、建て方の時、大工が間違いの無いように番付けをしている。 |
柱を固定した鉄骨の下にジャッキを沢山入れ、メキッ・メキッ・ギシッ・ギシッと鈍い音をたてながら内海の家は、ドンドン上がって行き約1メートルほど上げて止める。 鉄骨の下に枕木を入れジャッキを取り外し持ち上げ作業の完了だ。 |
いよいよこの下に基礎を作る作業のはじまりであるが、基礎工事は、重機も入らないため、作業員は、家の下に潜り全てを手作業で行う。普通の基礎工事に比べて少し時間がかかる。 |
全て手作業で、すき取り、整地がされ外周に型枠が組まれ、鉄筋が配筋され生コンが打たれ、ベタ基礎が完成した。 |
生コンが固まり、墨が打たれ、土台が組まれ、建物のレベルを出すため抜き穴を基準に柱の根元をきった いよいよ、次は、内海の家が土台の上に降ろされる。 |
ジャッキが少しずつ降ろされ、枕木が一つ一つ取られ、新しい土台の上に内海の家が降ろされた。 |
これからが、内海の家の本当の修復工事の始まりである。 雨漏りなどで痛んでいる、タルキや隅木桁そして柱などを取替え新しい屋根が造られて行く。 |
屋根地が治され、新しい瓦が葺かれて行くもうこれで、内海の家も雨の漏る心配も無くなった。 |
屋根も出来て、柱に新しいヌキが入れられ左官さんの手により、丁寧に小舞が組まれ行く。 |
小舞が組まれた後、左官さんは、土を練り小舞の上に土が塗られてた。 |
屋根が出来、悪い柱も新しくなり、土壁も塗られ、床の板が張られた、これがあの内海の家とは、思えないくらい綺麗になった |
内部の再生も着々と進み外に出て見ると土壁が塗られた上に下地を作り焼き杉の板が大工さんの手により張られていた。 7寸の焼き杉を張って行き、ジョイントの押さえに1寸の板を均等に打ち付ける。 |
新しく取り替えられた構造材は、全て地松が使われている。その新しい材木が古材とマッチするように、古色を付ける。 古色は、柿渋と赤べんがらや黒べんがら等を調合して、柿渋べんがらを作り新材一本一本丁寧に塗って行く。 |
柿渋は、木の呼吸を妨げず、耐候性耐久性、撥水性に優れており、べんがらは、防腐、防虫効果がある。 「人・地球・環境に大変優しい安全な塗料と言えるものである。」 |
大工さんの仕事も終わり新しい壁は、中塗りをして、既存の悪い壁を土で補修する 。これから左官さんが、仕上げをして行く昔の物も良いが、現代の物にも良い材料が沢山ある。それをこれから紹介しょう。 |
内部の仕上げは、珪藻土で仕上げる珪藻土は、人間の健康を考えたもので人に優しく調湿性(結露防止)で断熱性が高く防火性にも優れておりホルムアルデヒドを揮散しない安全性が高いものである。 |
昔には、無い色であるが、アクセントに珪藻土とべんがらを混ぜ紅色の壁を作る紅色の深みのある色が古民家に合う。 |
外壁は昔ながらの漆喰を塗る漆喰は、古材や古色の新材を浮き上がらせ、古民家が一段と引き締まって見える。 |
次は、いよいよ屋根の塗装の始まりだ! 昔は、茅葺屋根であったが、何十数年か前から茅葺に薄い鉄板がかぶされるようになった 。これは、防火の関係と茅葺をしなくて済むからである。屋根に足場を組み、錆を落とすケレンを行い、錆止めをし、仕上げにペンキなどを塗る。 |
内海の家に入って見ると建具の切りはめが始まっていた 。昔の使える建具は、そのまま使用する。昔懐かしい擦りガラスの絵が古民家を引き立てている。 |
内壁が仕上がり、建具がはまり畳が敷かれ、照明も取り付けられた。内部の仕上がりである。 これからしばらく、内部の完成写真を見ていただくことにしょう。 |
玄関(庭)に一歩足を踏み込み上を見上げると、あの真っ黒く交差した梁がそのまま残されていた。この梁がこれから後、歴史を伝えてくれることであるう。 |
玄関に立ち板の間を見る。 昔は、たたきの土間だったが杉板を張り古色が塗られている。 |
板の間から隣の6畳2間を見る。 正面の建具は、舞良戸と言い新しい建具で柿渋ベンガラが塗られ、備後表の畳が敷かれている。 |
板の間の奥にもう一部屋和室があり、昔の戸棚が、残されている。 建具も昔のまま使われている。 |
一番奥の部屋は、昔の4畳半の納戸だったが、今は、杉板が張られ、曲がった柱や梁が沢山ありとても落ち着きのある部屋となった。 |
囲炉裏の間から玄関を見る。 内海の家も完成した。この家と出会い数ヶ月掛けて再生し、こんなに見事に生まれ変わりました。 最後に、再生前と再生後の写真を見て頂き、民家再生の良さを感じていただきたいと思います。 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
再生前 | 再生後 |
数ヶ月前にこの内海町にやって来ました
内海の家と出会い、内海の家を甦えらせました。
この家も、これから先、この地でまた生きて行くことでしょう。
皆様も、身近にある先人が残してくれた古民家を、もう一度
甦らせて見ませんか?